現代アフリカとアジアにおけるイスラーム研究の新展開
掲載日程:2024.12.12代表者氏名
清水 貴夫
活動の目的
フランス人類学・思想に頻出するフランス流ライシテ概念を批判し、アフリカに適応できる文化宗教(特にイスラーム)現実や中間集団を抽出し、普遍的な福利の効く社会形成を問うことが本研究の最終目標である。 本研究で着目する西アフリカは、旧宗主国(主にフランス)の政治制度上の影響を強く受けた地域であり、フランス起源のライシテ(「脱宗教化」)の原則の基で国家が形成されている。その一方で、アフリカ大陸においても特にイスラームが浸透した地域であり、イスラームはこの地域の政治、宗教、市民の日常に深くかかわっている。イスラームは私的領域を超えて担う社会救済性を持ち、国家政策において信仰NGOや宗教学校など、市井の人びとが主体となる「中間組織」が社会福祉や教育の領域において国家に代わって機能している。 そこで、本研究では、旧フランス領アフリカを対象とし、国家と個人を二極化せず、社会集合性や協働性を濃淡として捉え、「ライシテ-宗教性」の連続体を析出、分析し、現代(アフリカ)社会のモデルとして提示していく。 本研究は科学研究費(21H00651)「現代西アフリカにおけるライシテと宗教性の連続性の文化人類学的研究」(基盤(B))の研究に付随する研究である。
メンバー
科研費のメンバーとして、清水貴夫(代表者)、和崎春日(本学客員教授)、ウスビ・サコ(本学教授)、伊東未来(西南学院大学)、中尾世治(京都大学)、阿毛香絵(本学講師)を中心とするが、関連領域を専門とする若手研究者を招聘する予定である。
活動予定
本年度は2度の研究会(①クローズド(6月)、②セミクローズド(1月))と文献調査を中心に研究を進める。 また、本研究の重要な先行研究であるHolder et Sow 2013 L’Afrique des Laïcités, État, Religion et Pouvoirs au sud du Sahara, IRDの一部を翻訳し、紀要ないし『年報人類学研究』(南山大学)に投稿することを目指す。