在日アフリカ人の現代的展開についての都市人類学的研究
掲載日程:2025.10.05代表者氏名
清水 貴夫
活動の目的
約450万人の在日外国人の中のわずか0.5%程度(約25,000人)とその数は大変小さいが、着実にその数を増やし、日本社会に根付きつつある在日アフリカ人。
すでに、他地域出身者と同じく第2世代以降が現れるようになり、高齢化問題や差別の問題も報告されている。
本研究プロジェクトの土台となるのは、2005年以降、地道に在日アフリカ人に寄り添い続けた和崎春日の研究群であり、約20年が経った現在、どのような変化が現れているのか。
こうした点を、さらに微視的な視点から解きほぐしていきたい。
アフリカ大陸に出自を持つ人々の中には、川瀬作品で見たような日本社会の一員となろうとする人々、日本社会の中で自分たちの立ち位置を確立しようとする人々、
日本は単なる出稼ぎ先の一つとして、金を稼ぐことだけを考える人びとなど、日本に軸足を移して定住する人びとが多いと考えられてきた。
しかし、日本は衰退し、アフリカは様々な側面で存在感を強めつつある。20年前とは大きな政治経済的背景の変化を経た中、アフリカの人びとは「在日」という枠組みを超え、トランスナショナルな空間を軽やかに「移動」し続ける人びとも数多くみられるようになった。
こうした、流動化するアフリカ出身者をどのように捉えるのか。「アフリカ出身者」という枠のみならず、「移民論」にも踏み込みながら研究を進めていきたい。
2025年度は、個人研究奨励費(学内資金)を獲得し、在日セネガル人の日本語教育に関する実践的な調査を進めている。また、清水・和崎による在日アフリカ人に関する共同研究を企画している。
研究参画者
清水貴夫、和崎春日
これまでの業績
1. CAACCS, 2024, 「映像でみるアフリカ・アジア社会とその課題」第2回「エチオピアの隣人と映像を通して考える未来」(川瀬慈監督作品『つながりを生きる東京のエチオピア移民』等を閲覧。コーディネーター:清水貴夫、コメンテーター:和崎春日)
2. 清水貴夫2024, 「ムーリッドを中心とする在日セネガル人の民族誌的研究序説」『インターセクション』2: 5-2
3. 和崎春日2021, 「テンベアとダンイスカ-移動アフリカ人の放浪と定住の理論」『季刊 民族学』176:4-12
4. 和崎春日(編)2008『来住アフリカ人の相互扶助と日本人との共生に関する都市人類学的研究』平成16年度-平成18年度 科学研究費補助金(基盤A)研究成果報告書
5. 和崎春日2007「来日カメルーン人の母村・家族状況―来住アフリカ人の母国における家族の社会・経済状況」『スワヒリ&アフリカ研究』 (17) 117-144