映像でみるアフリカ・アジア社会とその課題 第2回「エチオピアの隣人と映像を通して考える未来」
日時
2024年11月15日(金)19:00-21:00(18:30開場)
場所
FabCafe Kyoto(ファブカフェキョウト)
【交通アクセス】
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分
概要
第2回は、日本に住むエチオピア人の映像を中心に、在住外国人との共生の未来を考えます。ご覧いただく映像は、『吟遊詩人-声の饗宴-』(2022年、17分) と『つながりを生きる東京のエチオピア移民』(2024年、48分) の2本で、いずれも川瀬慈さんの監督による作品です。移民というマイノリティの中でも、さらに小規模なアフリカ出身者のコミュニティ。こうした小さなコミュニティが如何に存続しうるのか、また、私たちの社会にどのように根付いているのかということを考えるヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
登壇者
川瀬慈(かわせいつし)
国立民族学博物館・総合研究大学院大学 教授。主著に『ストリートの精霊たち』(世界思想社、2018年、鉄犬ヘテロトピア文学賞)、『エチオピア高原の吟遊詩人 うたに生きる者たち』(音楽之友社、2020年、サントリー学芸賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞)、『叡智の鳥』(Tombac/インスクリプト、2021年)。『見晴らしのよい時間』(赤々舎、2024年)、『エチオジャズへの蛇行』(音楽之友社、近刊)。
Abebe Sahlesilassie(アベベ サレシラシェ)
エチオピア生まれ。国立アディスアベバ大学理科学部化学科卒業。1996年来日、アジア学院でリーダーシップ研修プログラム終了。2010年NPO法人アデイアベバ・エチオピア協会を設立。在日エチオピア人支援、エチオピア支援と日本とエチオピア間の橋渡しとして文化・スポーツ交流、企業紹介等の活動を促進。
ナビゲーター
和崎春日(わざきはるか)
京都精華大学特任教授。中部大学名誉教授。専門は文化人類学。アフリカと日本の都市社会の人類学的研究、特に祭礼・儀礼の都市人類学を専門とする。近年は、特に、日本、中国、韓国、ベトナムなどアジア諸地域とアフリカ大陸の交流の研究を行っている。主著に『大文字の都市人類学的研究』、編著に『アフリカの都市的世界』(松田素二、嶋田義仁との共編)、『響きあうフィールド 躍動する世界』がある。
清水貴夫(しみずたかお)
京都精華大学国際文化学部准教授、総合地球環境学研究所客員准教授。専門は文化人類学。西アフリカにおける子どもと社会を研究。
別注
1.『吟遊詩人-声の饗宴-』(2022年、17分)
エチオピア連邦民主共和国の都市にみうけられる酒場“アズマリベット”。ここでは楽師アズマリが弦楽器マシンコを弾き語り、人生の無常や恋愛、社会批判等を歌にし、庶民を楽しませる。アズマリのパフォーマンスの特色は歌い手のみならず、聴き手も即興的に詩を生み出し、歌い手に投げかけていくことにある。アズマリはそれらの詩を弦楽器の旋律にのせて一字一句復唱し、聴衆に聴かせる。本作は、アジスアベバのハヤフレット地区にあるアズマリベットDuka Masinqoにおいて、長回しのシングルショットによって記録された、ゴンダール出身のアズマリ、ソロモン・アイヤノー氏と客たちの詩のやりとりである。ここで歌われた詩のテーマは、新型コロナウィルスの世界的な蔓延、ティグライ人民解放戦線(TPLF)と政府軍による戦争、過去と現在のエチオピア首相に対する批判、さらには大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)建設をめぐるエジプトやスーダンとの外交摩擦に至るまで多岐にわたった。アズマリベットの歌は、エチオピアの社会情勢や庶民の気持ちを映し出す鏡である。東京ドキュメンタリー映画祭2022「人類学・民俗映像部門」準グランプリ。
2.『つながりを生きる東京のエチオピア移民』(2024年、48分)
日本社会には、世界のさまざまな地域や文化にルーツを持つ人々がいる。その中でもアフリカからの移民の生活や活動は広く知られていない。東京都葛飾区と墨田区には、200人近いエチオピアからの移民が住んでいる。彼ら、彼女らはエチオピア正教会の集会でつながり、同国の音楽や食事を通じて地域住民と交流を行う。本作では、エチオピアの人々が自分たちの文化を守りながら、東京に根を下ろしつつある姿をとらえる。高齢化や人口減少に伴う労働力不足を解決するために活用する「外国人材」という視点ではなく、日本社会を創造的かつ、豊かに読み替える主体としての移民に目を向け、歩み寄り、そこからこの国の未来について考えることは可能だろうか。ヘリタレス国際遺産映画祭(ポルトガル 2024)、クラトフェスト国際民族学ドキュメンタリー映画祭(北マケドニア 2024)他、入選。
京都精華大学 現代アフリカ・アジア講座2024について
2024年10月30日より、全4回の日程で現代アフリカ・アジアに関する連続講座「映像でみるアフリカ・アジア社会とその課題」を開講します。
本講座では、アフリカ、アジア地域を中心に活動してる映像作家の方々をお招きして、映像作品をみながら、この地域での課題などについて解説します。
京都精華大学アフリカアジア現代文化研究センターとは?
アフリカ・アジア現代文化研究センター(CAACCS、Center for Africa-Asia Contemporary Studies)は、より実践的、直接的な交流から、アフリカ・アジアの現代文化を考察し、新しい世界のあり方を探ることを目的に2020年4月に設立されました。アフリカやアジアをフィールドとする研究者やアーティストを積極的に受け入れ、学部の教育研究活動ともリンクする研究拠点をめざします。