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アジア・アフリカのイスラーム文化理解とダイバーシティ促進へ向けた取り組み~新しい共生社会を担う世代から~

代表者氏名:阿毛 香絵

活動の目的

本調査は、京都精華大学の学長指定課題の一環で実施され、現在日本社会に生きるムスリム学生について、宗教や文化の違いを持ちながら日本でどのような生活を送っているのか、また宗教実践を含め、自らの文化や信条を守りながら自らをとりまく人々や社会とどのような関係性を築いているのかについて質的調査を実施することを大きな目的とする

一言でイスラーム圏と言っても広大であり、それぞれの地域における歴史や文化・政治的背景も異なる。この研究の目的は、アジア・アフリカ圏の異なる文化について理解を深めると同時に本学を中心とした日本の大学や教育機関における多様なイスラーム文化理解へ向けた取り組みの現状と可能性について調査することである。同時に、ICTも活用し学生や職員と共に文化理解や共生へ向けた実践的な取り組みも進める。

本研究の対象として、日本に一時的に滞在している外国籍の留学生と同時に、日本で生まれ育ち、親の信条や文化などから、生まれつきイスラーム教徒である日本国籍の学生も、対象とする。

また、それぞれの学生の生活や友人関係、大学での勉学の様子などを詳しく聞き取り調査していくと同時に、日本の大学側でムスリム学生が生活しやすいようにどのような取り組みがあるかについても同時に調査を行う。

イスラーム教徒として日本で生活するなかで、もちろん戸惑うことや困ることはあるだろう。それを前提としつつ、問題点や困った点だけに焦点を当てるのではなく、日本の学習環境の中でそれぞれの学生が個人レベルで、あるいはコミュニティーレベルでどのような生活や取り組みをしているかに焦点をあてた調査をする。ほかの学生や自分を取り巻く人と今までどのように関わってきたのか、またこれからどのように関わっていきたいのかなど、個人のライフヒストリーや、生活実態など質的要素に焦点を当てた調査を行うことで、より実情に近い結果が得られると考える。

全体を通して、イスラーム教の不寛容、厳しいといったイメージを覆し、フレキシビリティあふれる生き方を自ら体言している在日ムスリム学生の生き生きとした姿に焦点を当てられればと考えている。

メンバー

  • 野中 葉 (慶応義塾大学 総合政策学部 准教授)
  • アブドゥライ・スナイ(ドイツ近代東洋文化研究センターZentrum Moderner Orient-ZMO)、専属研究員)
  • アブドゥラフマン・セック(セネガル国立サンルイ大学文明・宗教・芸術・コミュニケーション学部(CRAC)学部 助教授)
  • 本学職員(予定)

(研究協力者)清水 貴夫 (人文学部 准教授・アフリカアジア現代文化研究センター)

活動予定

2020年12月-2021年1月

【Input 】国内におけるフィールド調査1の実施
一部オンライン(ZOOMインタビューを予定) 
日本におけるムスリムコミュニティと多文化理解へ向けた取り組み
(予定)関西(本学、京都大学、同志社大学 -京都市)
関東(慶應義塾大学-藤沢市、上智大学、神奈川大学、東京マスジド)
-文献調査・インターネットなどを利用したネットグラフィ

阿毛、野中

2021年2月

【Output x Input】勉強会(本学)

研究担当者全員

2021年2月~3月

【Output】ワークショップでの議論や評価を元に研究報告を執筆

阿毛

3月

【Output】各自の研究成果をまとめた報告書の執筆と発表

阿毛

これまでの業績

  1. 阿毛香絵『セネガルの高等教育機関におけるイスラームのダイナミズム(Les dynamiques de l’islam dans les lieux d’enseignement supérieur au Sénégal)』(博士論文・EHESS), 2019.
  2. 清水貴夫「ブルキナファソのストリート・チルドレンと教育-近代化とイスラーム文化のはざまに生きる子どもたち」澤村信英『発展途上国の困難な状況にある子どもの教育』明石, 2018.
  3. 野中 葉 「インドネシアにおけるハラール化粧品の隆盛と女性たちの美意識」帯谷知可・後藤絵美編『CIRAS Discussion Paper No.80』26-34, 2018
  4. 阿毛香絵 (仏語) “Les dynamiques religieuses dans les milieux de l’enseignement supérieur au Sénégal(高等教育の場における宗教のダイナミズ)”, Holder, Dozon (編著), Les politiques de l’islam en Afrique, Mémoires, réveils et populismes islamiques, Karthala, 2017.
  5. 野中葉 「信じること・装うこと −インドネシア人女性たちのヴェールと服装」京都大学大学院人間・環境学研究科文化人類学研究室編集『コンタクト・ゾーン』9号: 279-303, 2017.
  6. 清水貴夫「ニジェール共和国における伝統教育と社会 ザルマ社会のイスラーム教育」. (大塲麻代編 『多様なアフリカの教育- ミクロの視点を中心に-』. 未来共生リーディングス, Vol.5. 大阪大学未来戦略機構第五部門, 2014.
  7. 野中 葉 「ムスリマによるムスリマのためのもう1つのミスコン−ムスリマ・ビューティー」倉沢愛子編著『消費するインドネシア』慶應大学出版会、
  8. 野中 葉 『インドネシアの大学ダアワ運動 再考 −サルマン・モスクにおけるイスラーム運動の思想と現代的意義』SOIAS Research Paper Series No.7、2012。