凄まじいスピードとパワーで進展する、かつてオリエントであったアフリカ・アジアは、すでに現代社会の経済、文化をけん引する位置にあることは多くの人が認めるところとなりました。この地域の文化は、日々新たな作品が生み出され、世界中に発信され、そして消費されます。しかし、私たちはこのことをどれくらい知っているでしょうか。ポップ・カルチャーは、創造されるスピードが速い一方で、消費され尽くされるスピードも速いものですが、泡沫のように見えるポップ・カルチャーの中には、その時代を反映する重要な要素が含まれ、その中には、時に哲学のようなものすら見出すことができます。CAACCSの研究プロジェクトは、主に諸地域の現代的な文化の諸相を拾い出すとともに、従来の学術研究で明らかにされてきた、現代文化の根底に流れる根本の文化、さらに、こうした学術研究や現代文化の表現方法に至るまでを、包括的に研究していきます。

こうした研究は、そのテーマに関心を持つ学内外の研究者、実践者、職人、そして市民によって構成され、その発信方法は、論文や学会報告といった、従来の学術研究の枠組みにとらわれない、自由な発想の中で生まれた方法で行います。

既存の人文社会自然科学で積み重ねられてきた研究領域を十全に参照することが重要であり、まず、学術的基盤として学際的にアフリカ・アジア地域の研究を進めることが重要です。この領域の諸研究課題は、既存の学問領域の深化、並びに新たな課題の発掘することが目的とします。

現代のアフリカ、アジアの文化は、欧米の枠組みに必ずしも従属的ではありません。それぞれの地域、また、ネット上で地域を超えた芸術的な試みがなされています。この枠組みのプロジェクトでは、こうした現代的な芸術活動を展示、上映、演奏、実践と、過去を振り返る営みである「研究」に縛られずに、様々な形の表現を大切にしていこうと考えています。